基本的な英文法をある程度使えるようになると、英語を英語で学ぶということが可能になります。例えば洋書を英語の教材として使うということがひとつの選択肢となりえます。そうすることで、実践として英語を使うことになりますし、より英語に触れる時間を増やすことにもなります。また、英語で書かれた説明も読めるということは、それまで利用できなかった多くの英語コンテンツからも学習できるということです。学習の幅がいっそう広がりますね。ここでは、日本語という制限を取り払った学習方法として、いくつかの洋書/教材を紹介します。
実用的な英文法を英語で学ぶ: Grammar in Use Intermediate
Grammar in Use Intermediate は Raymond Murphy による英文法の教科書&ドリルです。Grammar in Use シリーズはレベルに合わせていくつかの種類があり、初級と中級に位置するレベルには北米版が用意されています。質の良いテキスト/ドリルを探している人にはうってつけのシリーズです。
- 初級
- 中級
- 上級
現在の英語力として、既にある程度文法を押さえている段階であるという前提で、かつ私たちが学校で習うのはアメリカ英語であることを考慮すると、アメリカ英語の中級に位置する Grammar in Use Intermediate は今後の英語学習の良いお供になります。洋書ということで当然すべて英語で書かれてはいますが、文章は平易な表現で、かつ図やイラストなども使われていますので、あまり問題にはならないでしょう。むしろ英語に慣れるための第一歩としてちょうど良いかもしれません。
Grammar in Use Intermediate や Advanced Grammar in Use の巻末にはちょっとしたテストが用意されており、これを使って今の自分の弱点を簡単に確かめることができます。テストの各問には対応する UNIT (学習すべきページ) が書いてあるため「間違った問題に対応する UNIT を重点的に復習する」という使い方ができ、かなり効率的に学習を進めることができます。
各UNITは見開きで、1ページ目に文法の説明、2ページ目に練習問題が用意されており、その繰り返しです。合計142のUNITで構成されています。各 UNIT には関連する UNIT が記載されており、より深い理解を得るのに役立ちます。最初のページから順番に進めていくこともできますが、前述の通り苦手な箇所だけを重点的に潰していくというのもオススメです。
オンライン英会話を併用して学習の質を高める
Grammar in Use は頼れる教材である一方、独学ではどうしてもテキストに答えが書かれていない疑問やどう解釈すればいいのか曖昧な点が出てきてしまいます。また、英語で英語を学んでいるとは言っても、机の上での「お勉強」ばかりではメリハリがなくて飽きてしまいがちという面もあります。限られた時間で、少しでも実践をまじえた学習/経験を積み上げていきたいですね。
そこで、スカイプなどを利用したオンライン英会話を併用するという活用方法があります。多くのオンライン英会話サービスでは教材の持ち込みができますし、フリートークで質問することもできます。もしすでに自分に合ったサービスがあればそれを利用して、分からないことはさっさとプロに聞いてしまいましょう。分からないことを質問するには、自分がいまどんな文法について学んでいるのか説明する必要が出てきます。学習の質を上げるには学んだことをアウトプットすることが効果的だと言われますが、これも立派なアウトプットと呼べますね。つまり、英語について誰かに質問するという行動は、単に疑問を解決する以上の価値があると言えそうです。
どのサービスを利用しようか迷っている場合には、現時点ではDMM英会話がオススメです。DMM 英会話は扱っている教材の数が多く、そのラインナップには Grammar in Use Intermediate と Basic Grammar in Use も含まれています。DMM 英会話といえば、少し前から iKnow も使えるようになってより便利になりましたね。レッスンを予約すれば教材がオンラインで閲覧可能になるので、たとえ手元にテキストが無い状況でも予習や受講ができます。ただしここで閲覧できる教材は (内容的には同じですが) 日本語版なので、その点だけ注意してください。ちなみにDMM英会話の講師には日本人もいたりするので、うまく会話ができなくてもいざとなれば日本語で質問、という手も使えます。
向き不向きはありますので、本当に続けられそうかどうかは、無料体験で試してみるのがおすすめです。
筆者の経験ベースの話になってしまいますが、オンライン英会話をうまく活用するのはモチベーション維持も含めなかなか難しいです。その点、あらかじめ使う教材が決まっていれば、自然と予習をするモチベーションにもつながります。これを活用しない手はありません。実感として、レッスン前の15分の予習は本編の25分と同じくらい濃い学習になります。
ちなみに、25分の英会話を毎日繰り返したとして、それだけで年間どれくらい英語で話していることになるのでしょうか。単純計算するとおよそ152時間で、1日あたり8時間としてだいたい19-20日ぶんとなります。つまり、まるまる1ヶ月間、平日に英語を使っているのと同じくらいの時間と言えます。
北米英語の発音を学ぶ: Mastering the American Accent
発音やリスニングの上達に悩んでいる場合は、Mastering the American Accent で発音ルール、音の変化や省略について改めて復習し、付録の音声コンテンツを聞いて真似るといった練習をすると良いかもしれません。電子書籍版を買った場合も、音声コンテンツは別途ダウンロードできます。
Chapter1から4までは発音について、その後シラブルや単語のアクセント、イントネーション、音の変化などの詳しい解説が続きます。全体を通して、話者が本のほぼ全文を例と一緒に読み上げるので、しっかり音声を確認しながら進められます。音声もクリアで聞きとり易いですので、慣れてくると本を見ずに聞くだけで復習/練習ができます。
洋書を読破する
教科書ではありませんが、英語読書というのも英語力を上げるうえで大きな効果があるそうです。「英語耳」によると、リスニング力を身につけるにあたり英文読書をすすめています。
英語を完全に聞き取れる「英語耳」の状態になるために、最後に必要となるのは「語彙力」と「読解力」です。
(引用元: 英語耳 p.134)
英文での読書はこれらの「語彙力」「読解力」を身につけるのに有用なのだそうです。私自身もいくつか児童文学のような比較的易しいものを読みました。そして確かに語彙や読解力、結果的に読解のスピードが向上した実感があります。
Louis Sachar (ルイス・サッカー) は児童文学作品を多数出している有名な作家です。読み易くストーリーも明快なので、とっかかりとしてはおすすめです。Louis の代表作である Holes は上記の「英語耳」でも紹介されています。
最初は単語の意味を調べながら少しずつ読み進める必要があるかもしれませんが、1冊を読み終える頃には、辞書を引く回数が減っていることを実感できるはず。最近は Kindle などの電子書籍を使えば、標準で付属している辞書機能でかなり簡単に意味を調べられます。片手でできるので、通勤電車やちょっとした待ち時間に少しずつ進めることができます。
オーディオブックで洋書を聴く
もし既に読んだことがある洋書があるなら、Audible のようなオーディオブックでリスニングに挑戦するのはどうでしょうか。考えてみると当たり前な気もしますが、リスニングの上達には、実際に英語をどれだけ聴いたかが重要であると言われています。既に内容を知っている作品なら聴き取るためのハードルも低いですし、手元に書籍があればスクリプトを追いながら聴くこともできます。
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語源を辿って語彙を深める: Word Power Made Easy
ある程度語彙が増え、洋書を読むことにも抵抗がなくなってきたなら、単語のルーツを巡る本でより理解を深める時期がきているかもしれません。普段使っている英単語の、ほんのいくつかの語源 (ラテン語やギリシャ語) を知ることで、驚くほどたくさんの派生語の意味を類推できるようになります。Word Power Made Easy は性格、医療、科学、その他様々な視点からいくつかの単語をピックアップし、それらの語源や関係について詳しく説明しています。語源についての逸話を知ることは単純に興味深く面白いですし、記憶にも深く残ります。
本の前半では現時点の語彙を調べるテストや語彙を増やす方法についてのアドバイスも提供されており、これまでのボキャビルの成果を振り返るためのツールとしても役立ちそうです。
英語学習に登場する用語を英語で
英語についての解説を英語で読むとき、文法についての用語などをあらかじめ英語で把握しておくとスムーズです。以下にいくつか例を挙げます。
日本語 | 英語 |
---|---|
動詞 | verb |
助動詞 | auxiliary verb, helping verb |
名詞 | noun |
代名詞 | pronoun |
固有名詞 | proper noun |
形容詞 | adjective |
副詞 | adverb |
前置詞 | preposition |
冠詞 | article |
不定詞 | infinitive |
動名詞 | gerund |
分詞 | participle |
限定詞 | determiner |
接続詞 | conjunction |
関係詞節 | relative clause |
完了形 | perfect tense |
受動態 | passive voice |
仮定法 | subjunctive |
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英語を英語で学ぶためにできることは教材の選定以外にもあります。次の記事では、ふつうの日常生活のなかでより多く英語に触れる環境をつくるための方法を紹介しています。
参考
- 英語耳 発音ができるとリスニングができる p.134