complement と compliment の違いと覚え方 – 紛らわしい単語たち

学習法
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complement と compliment はどちらも一般的 (SVL Level 7 と Level 6) な単語ですが、それぞれ異なる意味なのにもかかわらず違いは1文字だけ (e/i) と、混同しやすく紛らわしい厄介な単語です。両者の関連語やルーツを確認し、紛らわしさをクリアにする糸口を探してみましょう。

complement と compliment それぞれの意味

complement には、名詞で「補完物、補足、補足物」 「補集合、補数」 「補語」、他動詞で「完全にする、補完する、補足する」といった意味があります。

一方、compliment には、名詞で「賛辞、褒め言葉、称賛」 「敬意を示す行動」 「感謝の気持ち、挨拶」といった意味があります。また、他動詞で「お世辞を言う、褒める、称賛する」といった意味もあります。

一見何の関係もなさそうなのに、違いはたったの1文字だけです。発音にいたっては名詞の場合はどちらも同じ (kɑ́mpləmənt) で、英辞郎では動詞の場合は若干の違い (kɑ́mpləmʌ̀nt v. kɑ́mpləmènt) がありましたが、Cambridge Dictionary ではどちらも同じ表記でした。英辞郎をはじめいくつかの辞書によると、いずれの単語でも動詞の場合は末尾付近の -ment の頭にもアクセントがつきます。

共通点が多すぎて見分けるのが難しいように見えますが、なにか覚えるヒントはないのでしょうか。

complement と関連する語と一緒に覚える

complete と compliment の唯一の違い (e .v i) に着目しつつ、関連する語と結びつけることで、正しく覚える手がかりになります。

補完などを意味する complement は、「完全な」といった意味の complete と共通する部分 (comple-) を持ちます。

  • complement
  • complete

「補完 (complement) して完全 (complete) になる」という関係を覚えておけば、「e は complete の e。完全にするやつだから補完のほうだ。」と連想できます。対する compliment は「i なので e じゃない方だ」と判断できますね。

語源から覚える

なんと、これらの単語の語源をたどっていくと、どちらも最終的には complementum というラテン語をルーツとしていることがわかります。なるほど元の単語が同じならば、ここまで似ているのも仕方ないですね。complementum には、満たすまたは完全にするもの (“that which fills up or completes”) という意味があります。どちらかというと補完などを意味する complement にかなり近い単語に見えます。これがどのようにして賛辞などを意味する compliment の語源となったのでしょうか。

賛辞などを意味する compliment は、イタリア語の complimento が語源となっています。これには、敬意や礼儀正しさの表現 (“expression of respect and civility”) という意味があります。語源は、補完などを意味する complement と共通する complementum です。このことから、complimento やそこから派生する compliment には、礼儀正しさや敬意の要求に応えるという感覚が読み取れます。 compliment に「お世辞を言う」といった意味があることにも、これで合点がいきますね。

complere --> complementum +-> compliement --> complement
                          |
                          +-> complimento --> compliment

同じルーツを持つ2つの単語が、なぜこのように違った意味を持っているのかを知ることで、両者の違いが少しだけ立体的に見えてきます。

参考

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