不定代名詞とは、不特定のものを表現する代名詞です。不定代名詞といえば some や any の他に、ここで紹介する no / none (of) や both / neither / either なども日常会話に頻出します。不定代名詞の多くは、代名詞といいつつ後に名詞を置いて形容詞としても使われます。ところで、これらには似た意味のものが複数あったりして、使い分けが難しいと感じたことはないでしょうか。個々の意味についての理解はもちろん、複数形や組合せなどを考慮したときも文法的に正しく使えている状態になっていたいものです。具体的な例で使い方を確認していきましょう。
no / none (of) / nothing / nobody
No + 名詞は not a や not any の代わりに使うことができます。また、それを主語として使うこともできます。
- We have to walk home because there is no transportation (There is not any transportation).
- There were no fish in the water tank.
- I’m no hero, so I won’t act like that.
- No one wants to die.
None は no と違って、すぐ後ろに名詞を続ける必要はありません。また、次のように none of + 名詞
という形の主語で文をつくるとき、複数動詞と単数動詞 (三単現のSがつく) のどちらも使うことができます。といっても、特に文語では単数動詞を使うのが一般的なのと、of の後ろに数えられない名詞が来た場合にも常に単数動詞を使います。
- None of my fish lives without a filter. (live も使える)
- None of water here is drinkable. (are は使えない)
上記のように否定を表現するものとしては、他にも nothing / nobody / nowhere などがあります。Nothing は “not anything”、nobody は “not anybody” を意味します。
- “Would you like something to drink?” “Nothing. I’m good.”
- Nobody knows who he is.
こういった否定を含んだ代名詞を使うときは、混乱を招くような二重否定 (double negative) の文にならないように気をつけたいものです。例えば、次の文を否定のかたちにすると二重否定になってしまうため避けるべきです。
- I did nothing today. (I didn’t nothing … はおかしい)
Somebody や anyone などと同様、nobody / no one では性別が分かりません。そのような場合、後ろの文でその代名詞を指すために “he or she” や “his or her” の意味で they / them / their などの代名詞が使えます。
- Nobody said it is easy, did they?
- Nobody finished their exercises on time, at 7:00 pm.
both / either / neither
複数の対象について言及するとき、基本的には、対象が2つなら both / either / neither を、3つ以上ならば all / any / none を使えます。まずは前者から見ていきましょう。
- You can choose both. (両方を選べる)
- You can choose either. (どちらかを選べる)
- You can choose neither. (どちらも選べない)
Both の場合、主語は複数になる一方で、neither / either では単数になります。
- Both options are available. (両方とも利用可能)
- Neither option is available. (どちらも利用不可)
2つの対象を列挙する場合の接続詞は、それぞれ以下のように異なりますので使い分けに注意しましょう。
- both … and: Both Alice and Bob passed the exam. (どちらも試験に合格した)
- neither … nor: Neither Alice nor Bob passed the exam. (どちらも試験に合格しなかった)
- either … or: Either Alice or Bob passed the exam. (どちらかが試験に合格した)
Neither や either は否定文に同意する受け答えにも使われます。たとえば “I don’t like coffee.” という否定文へ同意したい場合、次のように返すことができます。同じことを表現するのに neither と either どちらでも使えるというのは興味深いですね。
- Neither do I.
- Me neither.
- Me either.
日本語に慣れ親しんでいる者としては、相手に同意したいときに「ああ、私もだよ」と返すつもりでうっかり “Me too.” と言ってしまいそうになるかもしれません。しかし否定文に対する同意としては、それでは通じないことを覚えておきましょう。
each / every
Each と every はそれぞれ「おのおの」「あらゆる」などと訳され、似た意味を持っています。しかしながら、それぞれには微妙な違いがあります。Each も every も対象のひとつひとつに対する言及としては同じはたらきをしますが (そのため単数として扱う)、every は each と異なり対象の集団全体への意識が向いています。
- Almost every participant took the survey. (“参加者” 全体への意識)
- Each question has five choices.
また、each と every には次のような使い分けがあります。
- 2つの対象の各々について言うときは every ではなく each
- 物事の起きる頻度について言うときは each ではなく every
- 代名詞として使うときは each、each one または every one (every 単体では使えない)
all / whole
All は「全部」「全体」を表わす場面で用います。
- All the spectators were fascinated by the performance.
- I was there all day.
次の例のように「全部でこれだけ」といった表現にも使われます。
- All you have to do is (to) put this in the microwave.
- All I’ve done today is this paperwork.
また、ある「ひとつのもの全体」を表わすときには、”all the” よりも “the whole” が使われることがあります。
- The whole building collapsed.
その他の不定代名詞
参考
- Grammar in Use Intermediate Student’s Book 3rd edition UNIT 84, 87, 88, 89
- Advanced Grammar in Use Third Edition UNIT 41, 51
- 総合英語 Forest 7th edition p.518, p.520