If と wish を使いこなす – さまざまな仮定法の表現

英文法
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If を使った仮定法をはじめ、wish のように if を使わない仮定法についてもまとめました。具体的な例と一緒に確認していきましょう。

現実的かどうかで使い分ける: if somebody does/did

“If somebody did” というかたちの文を見たことはあるでしょうか。いわゆる仮定法です。Did を使っているものの、これは過去のことを指しているわけではありません。できる・できた の使い分け- Can / could / be able to の違い でも、未来や現実とかけ離れた事柄を過去形によって表現しました。この did もその用法に似ています。”If somebody does … ” という文は起きる可能性が現実的である一方、”If somebody did …” は現実的には起きる可能性を無視した表現になります。前者を直説法、後者を仮定法と言います。

  • If I find your cell phone, I’ll tell you. (現在; 現実的に見つける可能性あり)
  • If you won a billion dollars lottery, what would you do? (過去; 現実はおいといて)
  • If I knew her phone number, I would call her. (過去; 知ってたらなぁ)

前述の通り、ここで過去形になっている文は、もちろん過去のことに言及しているわけではありません。例えば3つ目の例 “If I knew her phone number, …” は過去形を使うことで、話者が「彼女の電話番号」を実際には知らないということを示唆しています。

この形式で過去を表現したいときは、やはり完了形を使います。

  • If I had gone to the conference yesterday, I would still be in Los Angeles.

If 節に続く節のかたちは、どの時点の話かによって変わります。上の例では現在のことを話しています。過去のことを言いたい場合には後半でも完了形を使います。

  • If I had gone to the conference yesterday, I would have met lots of people.

ここで if に続く do/does/did (一般動詞) が be 動詞だとどういった意味になるのでしょうか。”If I was/were …” といった “if + be 動詞の過去形” では「もし … だったら」を表現できます。

  • If I were you, I would have gone to the conference.

ちなみに、主語が I なのに were を使っていることを不思議に思う方がいるかもしれません。実はこの場合は、主語が何であっても was/were どちらも使うことができるのです。

wish を使った仮定: I wish somebody did

Wish と did を組み合わせた “I wish I did …” でも、「…だったら」といった現実を無視した仮定を行なえます。Wish は特に、後悔や惜しむ感情、そして不満などを表現するときに使います。

  • I wish I could pass the exam. (試験に合格してたらなあ…)
  • The phone has been ringing for several minutes. I wish somebody would answer it. (もー誰か電話出てくれないかなー)

この形式で過去を表現したいときも “I wish I had done …” と完了形を使います。

  • I wish she had come to the conference yesterday.

wish に現在形は使わない

Wish を使うとき、”I wish somebody do” のように現在形の動詞を続けることは基本的にはしません 1。そういった場合には hope を使います。

  • We hope everything goes well with you.
  • I hope you’re enjoying this event.

I wish somebody something

これまで wish と動詞のある文を組み合わせた表現をみてきましたが、”I wish somebody something” で「誰々が何々であることを願う」といった表現ができます。

  • I wish you luck. (幸運を願ってる)

まるで … のように: as if somebody were/did …

“as if somebody were/did …” で、「まるで … であるかのように」というような、誰か (何か) が「まるでXXXのように」振る舞っている、事実とはかけ離れた振舞いをしているという様子を表現できます。

  • He talks as if he were a fool.
  • He talks as if he knew everything.

未来についての仮定: if somebody were to …

If 節の中で were to を使うことで、未来についての仮定を表現できます。主語が1人称単数か3人称単数の場合は were の代わりに was も使えます。

  • If you were to give a talk at the conference, what would you talk?

「もし…としたらどうする?」といった表現に使えます。

可能性はあるが低い未来: if somebody should do …

“If somebody were to …” と同様、未来についての仮定ですが、より可能性が低い仮定に使います。

  • If you should win the lottery, what would you buy?

if を省略した仮定

次の例のように、if を省略しつつ倒置にしたかたちでも仮定を表現することがあります。この形式は、倒置をした結果 were / had / should が文頭に来る場合にのみ可能であることに注意しましょう。

  • Were I you, I would have gone to the conference.

“If I were you” を倒置に置き換えたのが上の例です。

「… がなければ … だ」の仮定

“But for” や “without” に名詞的な句を続けることで、「…がなければ」というような意味の文になります。また、”without” の代わりに “with” を使うことで「…があったら」という文にできます。

  • But for money, life would be worthless. (金がなければ…)
  • Without your help, we wouldn’t have accomplished it. (君の助けがなかったら…)

これらはそれぞれ “If it were not for …” “If it had not been for …” といった表現で置き換えることもできます。

“A; otherwise B”: 「A だよ、さもなくばBだ」

“文A; otherwise 文B” というかたちで、事実が文Aの正反対であった場合を仮定した文Bを続けられます。

  • He can do it; otherwise we had better hire someone else.

こういったセミコロンのような英文中の記号については次の記事で解説しています:

英文に含まれるコロンやセミコロン、ダッシュのような記号の意味
たまに英語の文章の中にセミコロン (;) を見かけることがあります。例えば、長い文章を一言でまとめる際によく使われる TL;DR (too long; didn't read)。真ん中のセミコロンには何の意味があるのでしょう。他にもコロン (:) やダッシュ (—) も見かけることがあります。こういった記号にはそれぞれどういった機能があるのでしょうか。文中に登場するこれら記号の意味・使い方を把握して、英文の読解力、そして表現力を強化しましょう。コロンある文の末尾にコロ...

to不定詞による仮定

次の例のように、”To hear him talk, you would …” は “If you heard him talk, you would …” と置き換えられます。

To hear him talk, you would think he knew all about the secret.

(引用元: 総合英語 Forest 7th edition p.347)

“If only …”: 「…でありさえすればなあ」

“If only” は “I wish” と似ており、「…でありさえすれば!」という意味で使われます。

  • If only I could pass the exam.
  • If only I knew her telephone number.

参考


  1. 親切な読者の方から、”I wish I can” のように現在形が使われることもあるという意見を、励ましの言葉とともにいただきました。いくつかの英語コーパスを確認したところ、確かに、まれにこの用法が使われていることがわかります (COCA での頻度で比較すると “I wish I could” が 6529 件で “I wish I can” が 56 件、 SKELL では 1.51 v. 1.51 hits per million)。 
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