can は「できる」を表現する最もポピュラーな語ですが、その過去形である could 、そして be able to もよく使われているのをよく目にします。これらはどのような感覚で使い分けられ、解釈されるのでしょうか。それぞれの違いを把握しておきましょう。
基本的な意味: can は可能性や能力、許可を表現
can は可能性があること、実現する能力があること、あるいは実行が許可されていることを表現します。
- My grandfather can swim. (祖父は泳げるよ)
- You can go now. (行っていいよ)
もちろん、could は can の単なる過去形として使えます。
- My grandfather could swim when he was young. (祖父は若い頃は泳げたよ)
ここまでは単純ですが、could はこういった単なる can の過去形以外にも、様々な意味で使われます。また、can は文法上いくつか使えない場面があります。例えば、現在完了や他の助動詞と組み合わせはできません。それらについて一つずつ見ていきましょう。
いつ could を使うか
could は can の過去形なのに、過去を表さないことがあります。「英単語イメージハンドブック」によると、過去形には「過去」という文字通りの意味だけではなく「現在や自分との距離がある」イメージがあります。そしてこのイメージによって、まだ現実になっていない未来や誇張を表現できます。Could がより丁寧な表現だと言われるのは、過去形を使うことによって相手との (時間的な) 距離感が生まれ、より間接的な言い回しになるからと考えることができます。
過去形だけど過去ではない: 現在や未来に可能な行動/活動
Could は can と同様に、現在や未来に可能な行動/活動を表現する際に使います。Could は can の過去形ですが、この場合は過去ではなく、現在や未来のことを表しています。
- “Where would you like to go today?” “We could go on a picnic.” (…ピクニックに行けるね)
この場合、could は can で置き換えることもできます。違いとしては、could は can と比較するとより不確かさが増すというニュアンスがあります。
過去形だけど過去ではない: 誇張のような非現実的な可能性 を could で表現
could は誇張表現にも使われます。たとえば共感を得るなどの目的で物事をオーバーに表現するために、現実的には起こらないであろうことを言う場合には、次のように can ではなく could を使います。
- I’m so sleepy, I could sleep for a week. (眠すぎて1週間は眠れる)
この文も、過去形である could を使ってはいるものの現在のことを表現しています。
過去形だけど過去ではない: 現在について起こりえないことを couldn’t で表現
現在についての話で、起こりえないことや不可能なことを couldn’t で表現することがあります。
- She couldn’t go out because she is sick. (彼女は調子が悪いので外には出られない)
- “How are you?” “Couldn’t be better.” (…この上なくいい調子だよ)
“Couldn’t be better” はこれ以上良くならないほど良い、という一般的なフレーズです。このように、過去形を使うことによって現実との距離を表現できます。
過去: could を完了形と組み合わせて過去を表現する
では上記のような (過去形だけど過去ではない) 意味で could を使いつつも、過去のことを表現したいときにはどうすればよいのでしょうか。答えは完了形です。過去形ではない意味で could を使う場合、過去は完了形で表現します。たとえば「あのときは眠すぎて一週間は寝てられたね」といったことを言いたいとき。
- I was so sleepy, I could have slept for a week. (眠すぎて1週間は眠れた)
過去: 可能性はあったが実際には起きなかったこと
過去に「起きえたが起こらなかった」ことを伝えたいことがあります。そういった場合には、”could have happend” というかたちで、過去に起きえたが実際には起こらなかったことを表現できます。たとえば「大怪我をする可能性があった、けど助かった。あーよかった。」というとき。
- He could have hurt himself when the car accident, but an airbag saved his life. (その車の事故では大怪我をする可能性があったけど、エアバッグが彼を救った)
can や could ではなく be able to を使う場面
can と be able to は同じ意味で使われることも多いのですが、文型によっては be able to を使う必要があったり、文脈によっては違う意味になったりします。
他の助動詞との組合せや完了形
文法上、他の助動詞との組合せや完了形などで can が使えないときは、be able to が使われます。ただし、can が使える現在形や過去形といった場合には can を使うほうが一般的です。
- Applicants for the job must be able to use two or more programming languages. (“must can” とはできない)
- I haven’t been able to eat for a week. (“haven’t could” とはできない)
特定の状況下で実際に行なったこと
過去の特定の状況下で「実際に行なったこと」を表現するには、could ではなく was/were able to または managed to を使います。
- The explosion happened right next to me, but I was able to escape. (…どうにか避難できた)
- The explosion happened right next to me, but I managed to escape. (…どうにか避難できた)
ただし、同じ状況で「できなかったこと」を表現する場合は couldn’t が使えます。
- He couldn’t survive this time. (今回は彼は生き残れなかった)
参考
- Grammar in Use Intermediate Student’s Book 3rd edition UNIT 25, 26
- 総合英語 Forest 7th edition p.112
- 英単語イメージハンドブック p.212